ネジからスタートした「友安製作所」がプロデュースするCafe&Barに潜入!Part2

町工場からライフスタイルカンパニーへ

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カフェを運営する「友安製作所」が取り扱っているアイテムは、カーテンレールやカーテン、タイル、壁紙、床材、塗料、エクステリア商材などと多岐に渡っています。百貨店や専門店等への卸売り業に加えて、オンラインではなんと、17の自社サイトを運営しているとか。それぞれのアイテムに応じた専門サイトに特化しているのもユニーク。

“ペンキを塗る”“タイルを貼る”といったシーンに応じたテーマがわかりやすい

現在は大阪本社、阿倍野のショップ&カフェ、東京のカフェ&ブランチ、福井の物流センター、台湾支社などに90名弱のメンバーが働いているとのことです。

株式会社友安製作所の三代目、代表取締役社長である友安啓則さんにお話を伺ってきました。

「創業は東大阪市で、祖父が始めたねじやカーテンフックなどの線材加工業からでした。生産機械から金型に至るまですべて自社制作しているのが特徴です。ただ私が入社した2004年は、全盛期には40人いた社員が6人まで減っている頃でした。

私はアメリカの大学院を出て、現地の商社に勤務しましたが、やはり日本で父と働きたいという思いが強く、帰阪します。興味のあったインテリアのジャンルで、メーカーから直に買い付けてお客様に販売する新事業を立ち上げることをイメージしていました。ただ知名度も信頼もないゼロスタートだったため、入社直後はめちゃくちゃ苦労しましたね。」と当時を振り返る友安社長。

車にも塗れるという珍しい水性ペンキも揃えている

そこから業界内の商慣習と抗いながらも、国内にあまりない個性的なデザインのカーテンレールのインポート業からスタート。その後カーテンや壁紙、床材といったインテリア商材へと徐々に広げていき、オリジナルブランドも発足。オンラインショップは2005年とECの黎明期に早いスタートを切られています。

「住空間づくりをもっと気軽に楽しんでほしい」という想いから直輸入にこだわり、ヨーロッパをはじめトルコ、インドなどからオリジナリティーの高い製品を厳選して販売しています。

“町工場からライフスタイルカンパニーへ”と変貌を遂げ、2016年に事業継承し、代表取締役に就任しました。

壁紙はリアルな写真のようなインクジェットプリントのタイプも豊富

新しい事業を立ち上げて理想の暮らし作りの提案を

とはいえ友安社長も、決して現状に安住してはいられないと感じているとのこと。2015年頃をピークに日本の人口は減少に転じ、マーケットサイズがシュリンクするのは明らか。

「そこで、ユーザーが自然とインテリアに目が向くような“きざし”を生み出すために、2015年に新事業として東京・浅草橋に『友安製作所cafe』をスタートしました。店内にDIYコーナーを併設し、壁・床・家具などの内装は自社製品でコーディネイトし、模様替えやリフォームのヒントになる仕掛けを散りばめています。

東京店の運営が好評だったことから、引き続いて阿倍野にも出店しました。両店舗とも、ワークショップスペースを併設して、壁紙の貼り方や雑貨づくりなどを体験できるイベントも定期的に開催しています。」

アーティストとコラボレーションしたウォールパネルも

カフェ事業にとどまらず、理想の暮らしを作るためのコンテンツを配信する「メディア事業部」。空間づくりをトータルに提案する「友安製作所工務店」。また空きスペースを有効活用する「レンタルスペース事業部」「ホームパーティー推進委員会」など、インテリアに繋がるビジネスを数多く立ち上げているのも、友安社長の柔軟な発想力が伺えます。

それぞれが相互に好循環をもたらし、友安製作所の個性的な“カラー”を形作っていて、「この秋からまた新しい事業が立ち上がりますよ」と友安社長が笑って話されているのが印象的でした。どんな事業なのか楽しみにしていたいと思います。

そしてなんと、スタッフには好きな“ミドルネーム”を付けてもらい、気軽にその名前で呼び合っているとのこと。風通しのよいユニークな試みに、社内メンバーの仲の良さが伺えますね。こんな感じに。

スタッフ紹介のページにはそれぞれのミドルネームも(友安製作所HPから)

企業理念は『Add colors to everyone’s home』(全世界の人々の生活の一部に自社製品を)

世界中の人々の生活に彩りを与え、ライフスタイルをデザインする企業でありたい、という情熱が、友安製作所の尽きせぬクリエイティビティを支えているようです。

友安製作所 Café&Bar阿倍野

大阪市阿倍野区阿倍野筋2-3-8 06-6627-2004

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インテリアビジネスニュースの8月25日号を大幅加筆しました