2020年版 バッグ業界「今年の振り返りランキング」ベスト10

こんにちは。編集長の川崎です。2020年版の業界で注目されたアイテムの振り返りランキングです。

コロナに始まりコロナに終わった今年。仕事がテレワーク化したり移動が制限されたことで、ビジネス用やトラベル系が大打撃を受けました。新しい生活様式で不可欠なマスクを販売する売り場も増え、それらをしまうためのケース類も併せてヒットしました。

また7月からの「レジ袋有料化」に伴い、多様なバリエーションのエコバッグが揃ったことも記憶に新しい出来事。サステナビリティを意識して、端革を無駄にしないような革小物としてよみがえらせる試みをしたところも出ました。

先の見通せない現在でも、売り場はユーザー目線で様々な工夫をし続けています。不可逆的なこの事態を前向きにとらえるような、“新時代の発想力”が求められています。

【2020年 今年の振り返りランキング ベスト10】

①エコバッグ

コロナ下でのスマッシュヒットとしての「エコバッグ」は、売り場にとっては干天の慈雨の存在。生活の必需品として、ギフトとして2個3個と購入する人も多かった。折り畳む手間をはぶいた「シュパット」や、ミュージアムプリントを施した「LOQI(ローキー)」などがヒット。小さく折り畳める「ナノバッグ」や、素材に工夫を施した「ハンカチ×エコバッグ」のような個性派デザインも登場。ただ単価は1000円~2000円程度の低単価が中心。

 

②コンパクト財布

昨年に引き続き“キャッシュレス”対応は好調だったが、このコロナ下では「お金に触ること」を避ける動きも出たことで拍車がかかった。キャッシュカードやスマホでの支払いによる、キャッシュレス化が一気に進んだことで、長財布からコンパクトな財布を探す人が男女ともに増加。ただコンパクト財布を早く取り入れた人の中には、あまりにもモノが入らないことで、長財布に逆戻りという現象もみられた。

 

③マスクケース

マスクが不可欠となったコロナ下では、外で食事をする際に、自分のマスクを一時保管する「マスクケース」のニーズが高まった。バッグや革小物を作っていたメーカーも、革素材、帆布、クリア素材などで様々な工夫を凝らしたマスクケースを提案。「抗菌加工レザー」を使い、安心をアピールするところも。ギフトとして複数購入したという方も少なくない。

 

④フラグメントケース

キャッシュレスの流れを受け、「カードケース」と「コインケース」を合わせたシンプルなフラグメントケースがヒット。カード段が4、5段あるものが多いため、カード派の人には便利アイテム。ハイブランドもこぞって提案したことから、幅広い世代に認知された。D環付きのものに別売りストラップをつけて、首から掛けるコーディネイトも。

 

⑤大ぶりトート

レジ袋の有料化で、エコバッグを持つだけでなく、大き目なトートバッグで荷物を“オールインワン”で収納するという人も増えた。コロナ以前はレディスのバッグは小ぶりサイズが人気だったが、日常的にエコバッグを持つ必要が出たこともあり大き目へとシフト。またGoToトラベル用として、キャリーケースでは目立つので、大きいトートやボストンで旅行バッグにするという方も登場。

 

⑥スマートアイテム(スマホケース) 

今やスマホは財布代わり。スマホケースにカードスロットが付くのは当たり前で、コインケース、ミラー付きなど“多機能化”に拍車がかかっている。またショルダー紐をつけて、斜め掛けするコーディネイトも増加。ある百貨店のバッグ平場では長財布を削減し、代わりにiphoneケースを中心とした“スマートアイテム”を揃えた売り場も。インポートレザーを使用しハイクオリティな質感で、革バッグ並みに売上を作るブランドも出てきている。

 

⑦パソコンリュック

テレワークが加速し、春先には多くの人がオフィスのパソコンを家に持ち帰る必要が出た。その際に男女とも、ノートパソコンが収納できるリュックを探す人が増えた。また通勤電車の車内では、リュックの前持ちがマナーになってきたことから、薄型で前持ちでも使いやすい「エースジーン ガジェタブルシリーズ」などが大ヒット。レディスでも同様にパソコン対応の機能が求められている。今後のデフォルト仕様になりそうだ。

 

⑧パンチングレザー 

春先に先行して動いていたのがパンチングレザー。「軽さと涼しさ」を演出する加工として人気で、今年はバッグだけでなくシューズなどでも目立っていた。今年は円形、スクェア、文様風、各種組み合わせなど、様々なバリエーションが広がった。素材もスムースだけでなく、箔加工、スエード、ヌバックなどにパンチングを施した個性派も人気に。

 

⑨地元応援型ブランド、デザイン

今年は県をまたいだ移動が制限された時期が長かったが、それを逆手にとって地元でのものづくりの見直しや、素材の発掘といった動きも見られた。「TAデザイン」は地元愛知県の伝統工芸“有松絞り”を使ったバッグを提案。また“徳島産の藍”を前面に押し出し、藍色に染め上げた革で小物やシューズなどを作るといった動きも。藍は抗菌・防臭などの効果が見込めるといった点でも広く支持された。

 

⑩手持ちのミニトート

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年間を通してカジュアルな軽量タイプが席巻した1年だったが、中には小さめサイズのミニトートを手持ちするという方もチラホラ。レトロ回帰で“一本手”のクラシックなハンドバッグを、若い世代があえてコーディネイトするというスタイリングも。コロナが落ち着く頃には、よりクラシックなスタイルが期待できそう。

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以上です。今年の時勢を反映したアイテムラインナップになった感じでした。来年はこの閉塞感を打破するような、新しいアイテムが登場することを願っています。

みなさま、良いお年をお迎えくださいませ。

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(初出:フットウエアプレス12月号 大幅リライト)