【編集長レポート】はじめてのかばん作り体験!「遊鞄ゼロイチ」で本格リュックを作ってみた vol.2(2020年秋訪問)
さて、「本格リュック作り」その2です。前回の記事はこちら。
プロの職人ではなく初心者が作りやすい型紙で
初めて革に型紙を当てて切る作業やミシンをかける作業など、初心者がやっても失敗のないように様々な工夫をされています。
例えばミシンには、踏む場所に「♡」や「★」のマークをポイントに貼って、「その♡(ハート)マークのところを踏んでください」というように、初心者の方にも伝わりやすくしているのが嬉しいです。
ミシンもまっすぐ縫えるように、職人さんが使わないような特別な押さえを設けています。少し難しそうなカーブなども手取り足取りスタッフが説明してくれて、もちろん上手くいけば褒めてもらい、超初心者でも完成にこぎつけることができました。
「本来のかばん職人さんから見たら、ここでのやり方は“う~む”と首をひねることも多いかもしれませんが、自分たちはあくまでもお客さん目線で“初心者でも作り易いかどうか”を重視しています。それでも強度やシルエットのバランスを考えて、何度も試作してきた型紙です。」と坂井さん。
そして「iphoneをリュックを下ろさずに取り出したい。背中にポケットが欲しいがスムースに取り出せる方法はないだろうか?」という投げかけに、みんなでアイデアを出しながらも旦那が思いついたのが「オープンポケット」の発想。
それに対して遊鞄スタッフみなさんが、嫌がりもせずに考えてくださったのがコチラ! カーブを描いたオープンポケットで、iphoneもおいそれと落ちません。
このポケット、意外と使いやすいですよ。リュックって背中のポケットのデザインて難しいですよね。。
本格的なリュック、ビジネスバッグなどの基本プライスは60,000円から(オプションで前後有)。ベーシックなトートバッグは5,000~10,000円。ミシン掛けをしないシンプルな革小物は300円からとリーズナブルだ。
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さて完成!!!
基本の型に、黒のスムース×赤のクロコ型押し!すごいコンビネーション!・・・店には売ってないですよねぇ。素材によってプライスは変わりますが、こちらは約60,000円(税別)くらいでした。
こちらは無事、旦那のお気に入りになりました(笑)
ワクワクする体験がファンを生み、リピーターを生む
以前は多くの観光客が来店していましたが、現在はコロナの影響で普段通りの予約状況には戻っていません。特に1月の緊急事態宣言が発出され、GoToキャンペーンが止まったことで地方の観光は打撃を受けています。
とはいえHPにはたくさんのユーザーの方の写真がアップされていて、本当に楽しそう。こういう「ワクワクの体験をしてもらう」ということにこだわることが、愛されるポイントなんだろうなと実感します。
こんな中でも、坂井さんはどこまでもポジティブ。
「確かに城崎温泉や豊岡鞄ストリートなど、観光業は大変な状況です。それでも私たちの『遊鞄01』は、今まで体験していただいた方が口コミで広げてくださったり、近距離の方はご紹介でオーダーをしに来てくれています。ここまで足を運べない人は、zoomなどオンラインでの遠隔オーダーも受けています。
5、6年前は“名入れサービス”といえば、他ではあまりやらないサービスでしたが、今ではもう当たり前。 そこでもうワンランク上を目指すために、金具類もオリジナルが製作できるように特殊レーザーを発注しました!
コロナで厳しい状況ですが、バタバタと追われる日々ではゆっくり考えられないので、今の状況は“良し!”と考え、これからもオンリーワンにこだわって参ります。お客さんがイメージするかばんを、これからも一歩づつ、楽しく形にしていこうと思っています。」と笑顔で話す。
なんだろう。。コロナをどこまでもチャンスにしようとする坂井さんから、こちらが元気をいただいています。
さて、私ら夫婦でゼロから作り上げた本格的な黒赤のリュックは、まるでイタリアンカラーの車のようで(笑)大満足!
“こうしてカバンは作られるのか”というリアルな実体験が、作り手の工夫や苦労を知ることにも繋がりました。全国のバッグチェーンの店長クラスが、いずれは研修として体験するのもお勧めしたいです。
一人でも多くの方が、この工房でかばん作りの楽しさを感じ、革に親しんでもらえると嬉しく思います。
さて、コロナが明けたときに真っ先に遊びに行くリストに、加えちゃってくださいね!
◆「遊鞄01」豊岡市出石町町分129-1 0796-52-5055
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(初出:フットウエアプレス9月号リライト)