【編集長レポート】はじめてのかばん作り体験!「遊鞄ゼロイチ」で本格リュックを作ってみた vol.1(2020年秋訪問)

豊岡市にあるかばん工房「遊鞄01(ゆうほうぜろいち)」は、初心者向けの“体験型かばん制作工房”。FWP誌の取材で、はじめはzoomでお話を伺いましたが、やはり取り組みのユニークさもあり実際にお目にかかることにしました。

2020年9月、実際にかばん作りを経験すべく、こちらも感染対策を万全にして豊岡の工房にお伺いしました。なかなか旅に出かけられない現在ですが、ぜひ落ち着いた時に伺ってみてください。

城下町「出石町」にオープンしたカバン作り体験工房

JR豊岡駅から円山川沿いに南下し、車で約30分。

兵庫県豊岡市内、「出石城」のある出石町に位置しています。豊岡の「かばんストリート」とはまた異なる趣で、城下町のたたずまいが残るレトロな宿場町。周りには日本家屋を活かした有名な“出石そば”の店が立ち並び、関東や関西からの観光バスが日に数十台並ぶことも多いという、人気の観光地でもあります。

出石町の中心地から5分ほど歩くと、2020年5月にオープンした「遊鞄01」の建物が見えてきます。オンラインインタビューでお伺いはしていましたが、内部は150坪以上とあって想像以上に広々していました。

かばんのサンプル、レザーサンプル、そしてミシンをはじめとする様々な機械が並んでいます。代表の坂井一樹さん、妻の宏美さん、スタッフの木下さんにお出迎えいただいきました。

 

かばん工房遊鞄01(ゆうほう ぜろいち)で本格リュック制作

「ではまず、この中から作りたいバッグのサンプルを選んでください。そして好きな革を選んでいただいたら、パーツ選びや裁断、縫製まで、基本的にはすべてお客さんに作っていただきます。

だ、大丈夫だろうか…。取材はすれども実際に革のかばんを作ったことは皆無。

ミニサイズのトートから本格的なビジネスブリーフ、リュックなど様々なアイテムが並びますが、それぞれがかなり本格的なので、これを自分で作れるかどうか一瞬不安が…。すかさず代表の酒井さんからのコメント。

「ここでは初心者の方も必ず本格的なバッグが作れるよう、職人がきっちり付きますので安心してください」とのこと。実は坂井さんの小学生の息子は、自分で自分の背負うランドセルを作ってしまったというなかなかの強者。これは子供の情操教育にとっても最高の体験ですね!

こちらのyoutubeにアップされています、ご興味ある方はぜひご覧ください。

サンプルに沿って、自分らしいカラーコンビもOK

せっかく作るので、あまりシンプルなものは避けてサンプルはリュックをセレクト。初心者でもトートバッグで2、3時間、リュックは5時間ほどで作れるとのこと。意外にも短時間なためわかには信じがたい。。

革も一色ではなく“このパーツはこの色”、“こっちは別の色”と自分の好きな組み合わせもOK。

今回はユニセックスで使えるようにと、黒のスムースと、赤いクロコ型押しでコンビにすることに。革の色だけでなく、ファスナーや金具の色、内装やテープの色も数種類から選べる。

また、いちいちリュックを下ろさずにスマートフォンを取り出すにはどうすればいいか?と相談すると、スタッフ総出であーだこーだとアイデア合戦に!みなさんさすがプロ。

最終的にはオリジナルの型紙を起こし、「曲線を描いたポケットを背面につける」という提案に着地しました↓↓。

あくまでもユーザーに寄り添い、“できないと言わない”という坂井さんの前向きなスタンスが改めて実感できました。この寄り添い方は嬉しいです。

工房ではNOはなし。「デザイナーはお客様」

「私たちは基本形は作りますが、作業していくうちにどんどんお客さんからアイデアが沸いてきます。できるだけそのアイデアを壊さぬよう、イメージ通りに作っていきます。そして多くの人が役に立つアイデアならば、自分たちのサンプルにも生かしています。うちの工房では、“デザイナーはお客様”と言っているんですよ」と坂井さん。

同じリュックのサンプルでも、左は白黒コンビ、右はコンパクトサイズ

 

どんなものでも「大丈夫です、できますよ」と言ってくれるため、こちらもつい楽しくなってしまう。

これはハマる人続出なのもよくわかりました。

中には、ご自身がお持ちの高級なブランドバッグの中身を、全て新しく作ったかばんに入れ替えて、しまいには持ってきたバッグを忘れて帰るというケースも少なくないのだとか。

「だって自分で作ったものが一番可愛いもの!」ですって(笑)。その気持ち、分かるような気がします。バッグを売るのではなく、「体験を売る」ということをここでは徹底しているんだと実感しました。

さて、私のリュックの完成はまだ遠いです…。次回につづきます。

「遊鞄01」豊岡市出石町町分129-1 0796-52-5055

https://www.you-hou.jp/

──

(初出:フットウエアプレス9月号リライト)