【編集長レポート】がんばるママ達が作るカラフルな日傘&雑貨ブランド「nuts(ナッツ)」≪前編≫

こんにちは。編集長の川崎です。

今回はバッグではなく、兵庫県尼崎市で“日傘ブランド”を立ち上げている「nuts」を取材しました。まず商品のことより何より、作り手の方々があるひとつの共通点のもとに集われていることに、心を動かされました。

カリスマ店長から子育て、そしてノイローゼへ

とびきりカラフルで、めちゃくちゃ元気になれる日傘&雑貨ブランド「nuts(ナッツ)」。今年で5年目になるブランドです。

今まで日傘では見たこともないような、ポップな柄合わせ。そして縁には大きなポンポンが飾られ「これが日傘?」と思うようなびっくりデザイン。

とにかく持つ人を、元気にしてくれる力があります。

さぞ作っている方々はみなパワフルな方々か…と思いきや、「作り手はみんな、引きこもっていたり病を抱えたりするママ達なんです」と話すのは、nuts代表の藤村絵理香さん

レトロな花柄のワンピースに、大きな虎の顔がついたバッグという個性的な出で立ちで登場された藤村さんは、現在は3人のお子さんの母親。実は子育て中には、重い“育児ノイローゼ”を経験してきたと話します。とてもそんな風には見えないけれども…。

「子育て前はファッション系のショップ販売員などを歴任して、カリスマ店長時代もあったほどの服好きでした。そのときは作る側ではなく、とにかくお客様のニーズを引き出して、接客することが大好き。

けれど子供が生まれ、家にこもりがちになると、もう子供の顔も見たくないと思うほどのうつ状態に陥ってしまいました」

ハンドメイドのポーチが社会と繋がる

そんなある日、たまたまご縁があって出店した近所のフリーマーケットで、子供の服などと一緒に自分で作ったハンドメイドのポーチを並べてみると、お客さんが『これ可愛い!』と次々買ってくれて…。心底驚きました。」

気晴らしになるかと自宅で作っていた布製のポーチが、思いもかけずその後の藤村さんの運命を切り開いていくことになります。

『え?波縫いの手縫いやし、ましてや素人のですよ…』と内心うろたえていると、『いえ、この味がいいんです。これが欲しいんです』と言ってくださって。びっくりしましたが本当に嬉しかったですね」

「そこから手芸用品を買いに走り、新作を作りながら、自分がどんどん元気になっていったのを覚えています。“作ること”って、実はすごくパワーをもらえることなのかもしれないと、その時やっと気づきました。他の悩めるママたちもきっと、この経験を求めているに違いないと直感しました」

このポーチ販売がきっかけとなって「nuts」がスタートしていきました。

ヴィンテージ素材を使った傘づくり

藤村さんは、自分と同じように子育てに悩むママたちが生きがいを持てる場所を作りたいと、自宅の改築を機にショップ兼アトリエをオープンします。

自宅でハンドメイドのワークショップなどを開催しながら、そこで出会ってきたママさんたちと一緒に作り始めたのは、なぜか「日傘」。はてどうして傘?

「以前自分が購入したお気に入りの作家さんの日傘を持ち歩くと、みんなに『それステキ、どこで買ったの?』と聞かれることが多くて。その作家さんを訪ねて作り方を伺うと、“傘なんて採算が合わないから止めた方がいい”と言われました。でも『一人でなら採算が合わないかもしれないけど、分業でやれば行けるのでは』と思い、いろんな傘を買っては解体して、構造を調べつくしました」と藤村さん。

エンジンがかかったらどこまでもパワフル!

「他の人がやらないことなら、むしろ自分たち独自のやり方なら可能なのでは」と踏んで、組み立てから完成まで、アトリエに通うママさんメンバーが、分業ながら製作にいそしんだそうです。もともと「作り手」ではなかったことから、良い意味で囚われなく自由に作れる発想があった、と藤村さんは話します。

最初は「大丈夫?」といぶかしがっていたママたちも、一本、また一本と日傘が出来上がってくると、表情も明るくなっていったそうです。

いよいよ「nuts」の船出が始まりました。

次回に続きます。

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「nuts」 https://www.atelier-nuts.xyz/

(初出:フットウエアプレス4月号)