【編集長レポート】がんばるママ達が作るカラフルな日傘&雑貨ブランド「nuts(ナッツ)」≪後編≫
こんにちは。編集長の川崎です。
お待たせしました、nutsストーリーの後編です。前編はこちら。
ヴィンテージ素材の傘づくり、そしてバッグやスヌードへ
日傘ブランドnutsが使った素材は、一般的には傘には使われないカーテンやじゅうたん、ほどいたヴィンテージ服などを組み合わせたポップなデザインが特徴です。
ウッドのハンドル部分も、ブランドの焼き印を押したオリジナル。アイテムはほぼ1点もので、誰かとデザインがかぶることはありません。
他にも韓国やベトナムなどで買付けたカラフルな布地も活用して、個性派デザインにますます拍車がかかります。
もはや“日傘”というより、“おしゃれアイテム”と呼ぶほうがぴったりくるような逸品。
最近では日傘だけでなく、バッグやスヌード、マスクなども製作し、「nuts」の世界観が広がってきています。特にカゴバッグには、大きな顔のアップリケやら羽飾りやタッセルが縁どられ、もう独自ワールド全開です。
思い込みで派手な傘は売れないと考えがちですが、実はこのご時世でもリピート率は90%! 新作が出ると即完売!という人気ぶり。おまけにリピーターの方は、家に日傘だけで5本も6本も持っているのだとか。冗談みたいですがホントらしいです。
「お客様も最初は大人しいデザインを買われますが、周りに褒められていくうちにどんどん派手になっていくんですよ。そして家には日傘がたくさん~、そんなに身体ないんですけどね。」と笑顔の藤村さん。
お祭り騒ぎのPOPUPイベント「CIRCUS」
3月上旬に開催された阪急百貨店梅田店の10階にある「うめだスーク」では、恒例のPOPUPイベント「CIRCUS」に出店。仲の良い4ブランドが集まって毎回賑やかに開催され、会場も「これでもか」とばかりにド派手に飾られます。
もう恒例となっているイベントだけに、リピーターの方も狙うはイベント限定アイテム。コアなファンの方が心待ちにしているとか。
また日替わりゲストにドラァグクイーンを迎えてイベントを盛り上げるなど、まさにお祭り騒ぎの1週間!
「毎日来店する人もいるくらいですよ(笑) 特にコロナになってからは、旅行も出来ないし人にも満足に会えないから、みなさん元気が出るものや“場”を欲していると感じます。その時には傘だけではなく、バッグやスヌード、そしてカラフルなマスクなども作りました。『こんなのがあったらいいな』というお客様の声に、真摯に答えていたらどんどん増えていったという感じです。」
客単価は平均2.5万円程度だが、生産部門はあくまでマイペース。現在25名のものづくりスタッフが働いており、それぞれの家庭の事情や体調などを考慮しつつ、時給制でノルマは一切なしでOKと伝えているのだとか。あくまでも目的は「ママたちが元気になれること」が大切なので、働きやすさにはこだわっているとのこと。
ママたちの気持ちを引き出す役割
「私自身は以前、大手アパレルの販売員をしていました。カリスマ店員と呼ばれた時期もありましたが、改めて自分でも何をしたのかな…と考えると“お客様のニーズ”を人よりもつかんでいたのかもしれません。お客様のお話をじっくり伺って、いま何を欲しがっているのか、どこへ着ていくのかのイメージを常に描いていました。
実は今も同じように、ママたちの話を聞きながら、“この人はホントは何をしたいのかな”と無意識で伺っているのかもしれませんね。かしこまった“起業家”という感じではなく、みんなでワイワイ作ってみんなで儲けて、楽しくやっていきたい!という気持ちが強いです。
そしてお客様に、驚きと楽しさをずっと届けていけるといいですね。」と藤村さんは笑顔で話す。
日傘から始まったnutsのストーリー。ある意味で尼崎らしい“突き抜けた元気テイスト”が、きっと周りにハッピーなサプライズを起こしてくれるような気がしてなりません。
これからの活動を楽しみにしたいと思います。
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「nuts」 https://www.atelier-nuts.xyz/
(初出:フットウエアプレス4月号)