若手職人が拓く、日本製ラグジュアリーレザーショップ「BACK SCRATCHER(バック スクラッチャー)」
こんにちは、川崎です。
今回は、新しい世代が作ろうとしている「日本製ラグジュアリーレザーブランド」のご紹介です。
JR浦和駅には「伊勢丹浦和店」と併設して、専門店街の「コルソ」があります。
こちらはオープン当初から地元の方々に愛されてきた商業施設ですが、2021年に「BACK SCRATCHER(バック スクラッチャー)」というレザーアイテム専門店が忽然とオープンしました。
ウインドウはさながらラグジュアリーブランドのよう!
ファサードは落ち着いたブラウン調でまとめられ、ショップには丁寧に縫製された革バッグや革小物などが、一点ずつ間隔をおいて置かれています。店内は約15坪ほど。
はて?この店名とブランド名でもある「バックスクラッチャー」とはどんな意味なのでしょうか?「バッグ」ではなく「バック」なのもポイントです。
店舗責任者である上田啓介さんにお話を伺いました。
「直訳すると“背中をひっかく”、つまり『孫の手』という意味です。実は浦和コルソの中には、祖父の代からのバッグ専門店「PONY」がありました。三代目で“孫”である私が、祖父から店舗を引き継ぎ、新しい業態としてこのオリジナルのレザーショップを立ち上げました。
またこの単語には『相互利益』という意味があることを知り、まさにお客様と私たち双方が革を通じて幸せになりたいという想いから、このネーミングに決めました。
“いいものを末永く使ってもらいたい”という理念は、祖父も私も共通して持っているので、私の代には今の時代に合ったコンセプトで店づくりを行いました。」
と上田啓介さんは熱く話してくださいました。
◆エイジングする革に惚れ込んで製作
弱冠30代の上田さんは、バッグメーカーやアパレルなど様々な職種を経験。
最終的には革のエイジング(経年変化)に魅せられて、独学で革バッグづくりを学び、このブランドを立ち上げたとのこと。「やりたいことを全て詰め込んだ感じです」(上田さん)
店内のバッグは外注職人に依頼しているが、フルオーダーバッグの注文が入ると、すべて上田さんが“手縫い”で製作しています。
一押しのオリジナルのトートは、フロント部のU字ファスナーで開け閉めするユニークなデザイン。内装にはミンク調スエード素材を張り高級感が漂います。
「特に、ミネルバボックス(イタリアンレザー)のエイジングはダイナミックに変わるので、この色の違いを見せるとお客様も驚かれます」。
エイジングサンプルを見せて、以前よりもツヤが出た革の変化を見比べてもらっている。
◆スタッフは全員「レザーソムリエ」取得
「最初にエイジングする革の面白さをご説明し、バッグの独特な作りなどをお伝えすると、興味を持った方は再度戻られます。スタッフは全員、革のプロ資格である『レザーソムリエ』保持者なので、素材についての知識をお伝えするとご納得いただけます。」と上田さん。
購入した製品は2年間の無料修理を行い、その後も永年修理が可能(その際は有料)。革のギャランティカードもフルセットでお渡しし、レザーケアは店頭にて無料で実施している。
「革には血筋やシワなどの、一枚ずつ異なる模様があるので、お客様にすべての在庫をお見せしてお好きな一本を選んで頂きます。革好きな方が十二分に満足いただけるようなブランドにしていきたいです。」
上田さんが考える、ご自身の未来についてお伺いしました。
「自分自身は職人一本に絞って、ものづくりに本腰を入れていきたいですね。そして、革好きの方にもっと店舗が認知されると嬉しいです」と話してくださいました。
“孫の世代”が引き継ぐ、レザーバッグの輪。上田さんの姿勢に、これからの新しい風を感じました。
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フットウエアプレス誌より大幅加筆しました